tel:072-657-8860

蕁麻疹(じんましん)

Hives

蕁麻疹(じんましん)|ふじもとクリニック|大阪茨木市|アレルギー科・小児科・予防接種

じんましんとは

じんましんの写真

じんましんとは、かゆみを伴い、比較的境界線が分かりやすい「むくみ」と赤みのある「発疹(ほっしん)」が出現する状態をさし、多くの場合において、数時間以内に個々の発疹はいったん消失します。
発疹は虫刺されの様な円形のものが多いですが、数ミリ程度の小さなものから、手のひら以上の大きなものまであり、発疹自体がくっついてまるで地図のようになることも多くみられます。
また、いったん消失しても場所や時間を変えて繰り返し出現することがよくありますが、70%の人が1週間以内に治り、90%の人が1ヶ月以内に治ります。一方で、6週間以上も続くものは「慢性じんましん」といいます。

じんましんの症状

①激しいかゆみをともなう皮膚の平らな地図状の膨らみ

じんましんの原因物質を食べたり、吸ったり、触れたりした後に、表面が平らで赤い膨らみが突然あらわれます。大きさは直径数ミリのものから、広範囲に地図状に広がるものまであります。この膨らみは数時間で綺麗に消えてかゆみがなくなることもありますが、出たり消えたりして数日間続くことがあります。

②胸や呼吸が苦しくなるようなショック症状

皮膚にじんましんがあらわれるのにともなって胸やのどが苦しくなり、ゼーゼーと音を立てたり咳が出たりすることがあります。症状が激しくなると呼吸困難に陥ったり、さらにはショック症状(アナフィラキシーショック)を起こす可能性もありますので、緊急の対応が必要です。

③アトピー性皮膚炎とじんましんの違い

アトピー性皮膚炎は強いかゆみをともなう湿疹が、顔や首、ひじや膝の内側などにでき、同じ部位に繰り返し起こります。そのため皮膚に色素沈着を起こし、表面が黒ずんできます。乳幼児期では赤いジクジクした湿疹、幼児・学童期では、皮膚全体がカサカサになります。じんましんでは皮膚が赤く盛り上がる、かゆみをともなう膨疹があらわれます。じんましんが消えた後は、通常、完全に正常化するので、色素沈着などは残しません。

じんましんの原因

じんましんの原因には様々なものがありますが、約3分の2のケースでは原因が不明とされています。他の原因としては食物、薬剤、汗、物理的刺激などがあります。
尚、小麦製品・エビなどの特定の食品を食べた後、すぐに運動をすると、じんましん、血圧低下、呼吸困難などのアナフィラキシー症状を起こす人がいます(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)。

①食物
  • 魚介類

    サバ、サンマ、マグロ、エビ、カニなど

  • 肉類

    豚肉、牛乳、鶏肉など

  • 卵、乳製品

    鶏卵、牛乳、チーズなど

  • 穀類・野菜

    大豆、小麦、ソバなど

  • 食品添加物

    人口色素、防腐剤・パラベンなど

②薬剤
  • 抗生物質
  • 解熱鎮痛薬
  • 咳止めなど
③植物・昆虫
  • イラクサ
  • ゴム
  • 蜂など(触れたり刺されたりして起きる)
④感染症
  • 寄生虫
  • 真菌(カビ)
  • 細菌
  • ウイルス
⑤物理的刺激
  • 機械的擦過
  • 圧迫
  • 寒冷
  • 日光
  • 温熱
  • 振動
⑥運動・発汗
  • 内臓・全身性疾患

    血液疾患、膠原病・血清病など

  • 疲労・ストレス

    身体的なもの、精神的なもの

※6週以上毎日出没するタイプは、ほとんどは原因不明です。

じんましんの診断

じんましん(じんましん)の検査方法は主に3つあります。

血液検査 特異的IgE抗体という原因物質に対する免疫反応の値を調べる。
プリックテスト 抗原(原因物質)溶液を針で傷つけた皮膚にたらして15 ~ 30分後にじんましんの有無を判定する。
経口負荷試験 原因となるものを摂取して、実際に症状が出るか調べる。

血液検査の結果はあくまで参考程度として捉えてください。特定の食物の値が高かったとしても、それが原因であると断定することはできません。ただし、結果が有用な場合もあり、検査自体は安全なので気になる方はご相談ください。

じんましんの治療

じんましんを起こす原因がわかっている場合は、その原因を取り除き、避けます。例えば物理性の刺激であれば締めつける衣類を避けるなど服装を工夫したり、アレルギーがあれば原因となる特定の食品や薬を避けるといった対応を行います。
原因が特定できない、特定できても避けきれない場合は、「抗ヒスタミン薬」の服用が治療の基本になります。
皮膚の深いところである真皮には、ヒスタミンなどの物質が含まれる顆粒が詰まった肥満細胞と呼ばれる細胞が存在します。肥満細胞に外から何らかの刺激が加わると、中からヒスタミンが出ていきます。そのヒスタミンが血管に働きかけると、血管が膨れ、血しょうと呼ばれる血液の成分が血管の外に出ていきます。これにより、皮膚が膨らみ、赤みが生じます。これがじんましんの正体です。
ヒスタミンという物質は神経にも働きます。知覚神経が刺激されるとかゆみの感覚がでてきます。

抗ヒスタミン薬について

抗ヒスタミン薬は、血管や知覚神経がヒスタミンの刺激を受けないようにブロックし、反応が起きるのを防ぎます。多くの人が薬をのみ始めて数日から1週間程度で効果を感じるので、まずは治療によって症状が現れないことを目指します。じんましんが頻繁に起こる場合は、症状が起こらなくなってもしばらく薬の服用を続け、じんましんが起こらない状態が2ヶ月間続くことを目指します。最終目標は治療しなくても症状が現れないことです。長くかかる場合もありますが、やがてじんましんが起こらない状態に到達できます。あきらめずに治療を続けてください。
尚抗ヒスタミン薬が効かない場合、増量したり、又は胃潰瘍の薬等を併用することで症状が治まることが多いです。

じんましんのよくある質問

じんましんは遺伝する病気ですか?
蕁麻疹は他の人にうつることはなく、ごく一部の例外を除いて遺伝することもありません。ただ、アレルギー性蕁麻疹の人で、いろいろな物質に対してアレルギー反応を起こしやすい体質の人は、その物質に対して蕁麻疹が出やすい体質が遺伝することがあります。しかし、全てのアレルギー体質が遺伝するわけではありません。
内臓の病気があると蕁麻疹になりやすいのですか?
多くの蕁麻疹は出たり引いたりを繰り返すため、内臓の病気の影響が疑われることがあります。確かに一部の症例では、甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、胃炎などが背景にあって蕁麻疹が起こりやすくなるケースはあります。
また、膠原病、血清病、血管炎などのように、皮膚を含む全身の病気の一部として蕁麻疹が現れていることもあります。しかし大部分の蕁麻疹は内臓の病気とは無関係で、内臓の検査を行っても問題の無いことが多いです。蕁麻疹における一つ一つの皮膚症状が数時間以内に消え、かつ皮膚以外に自覚できる症状がない急性の蕁麻疹の場合、内臓の病気を疑う必要はありません。
お風呂に入ってもよいですか?
体が温かくなるとじんましんは、増える傾向にあります。かゆみがつよいときは、控えるか、ぬるめで短時間にしてください。
じんましんと診断されて、薬を飲んでいましたが、薬を飲むのをやめると症状が出ます。毎日飲んだほうがよいのか、それとも症状が出るときだけ飲んだらよいのでしょうか?
かゆい時だけ飲み、良くなったら止めて、またかゆくなったら飲むというような飲み方はお勧めしません。長期間続く蕁麻疹の場合はかゆくても、かゆくなくても飲み薬を決められた通りに飲み続けてください。しっかり飲み薬を飲んで症状が出ない期間を長く作り出すことが、徐々に症状が出ないことへつながります。体の中の蕁麻疹の炎を、お薬で水をかけるようにしてしっかり消していくイメージです。消えたように見えても、くすぶる小さな火からまた炎が拡がってしまうので、しばらくしっかり水をかけ続け(飲み薬を飲み続け)、徐々にそのかける水の量(お薬の量)を減らしていき、それでも再び火が(症状が)でないことを見ながら最終的には水を(お薬を)終わりにしていきます。
かゆい時に使うぬり薬はありますか?
蕁麻疹はぬり薬が効かないので飲み薬での治療になります。飲み薬でかゆみを抑えていきますが、飲んでいてもかゆみがつらい場合は薬の調節(変更・増量・追加)を行いますので受診してください。

TOP